BLOG

EUの動きなど 2

2024年5月20日

そうこうしているうちに、2024年5月16日、欧州委員会は、やはりメタ社に対し、別の論点(未成年者保護)で、DSA(デジタルサービス法)違反の有無を調査する正式手続きを開始したと発表しました:

欧州委員会プレスリリース2024年5月16日https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_2664

本日、欧州委員会は、フェイスブックとインスタグラムを提供するメタ社が、未成年者の保護に関連する分野においてデジタルサービス法(DSA)に違反している可能性があるかどうかを評価するための正式な手続きを開始した。
欧州委員会は、アルゴリズムを含むフェイスブックとインスタグラムのシステムが、子どもたちの行動依存症を刺激し、いわゆる「ラビットホール(ウサギの穴)効果」を引き起こす可能性を懸念している。さらに、欧州委員会は、メタ社が導入している年齢保証および確認方法についても懸念している。

本日の手続開始は、メタ社が2023年9月に送付したリスク評価報告書の予備的分析、欧州委員会の正式な情報要求(未成年者の保護およびリスク評価の方法)に対するメタ社の回答、一般に入手可能な報告書、および欧州委員会独自の分析に基づいている。

今回の手続きは、以下の範囲に関するものである:
・ メタ社が、フェイスブックとインスタグラムのオンラインインターフェイスの設計によって引き起こされるリスクの評価および緩和に関するDSA上の義務を遵守しているか。この設計によって、未成年者の弱点や経験のなさを利用し、依存行動を引き起こし、いわゆる「ラビットホール効果」を強化する可能性がある。このような評価は、児童の身体的・精神的幸福に対する基本的権利の行使や権利の尊重に対する潜在的リスクに対抗するために必要である。
・ メタ社が、未成年者による不適切なコンテンツへのアクセスを防止するためのリスク軽減措置に関するDSAの要求を満たしているか。とりわけメタ社が使用する年齢確認ツールは、合理性、比例性(【注】実現すべき要請とそのためにとられる手段とのあいだに適切なバランスがとれていること)、効果の点で問題がある可能性がある。
・ メタ社が、未成年者のプライバシー、安全、セキュリティを高いレベルで実現するために適切かつ比例性のある措置を導入するDSA上の義務を遵守しているか。特に、メタ社が推奨するシステムの設計と機能の一部となっている未成年者のデフォルトのプライバシー設定が注目されている。
DSA違反が立証された場合、こDSA28条、34条および35条違反となる。
<以下、省略>

一方、5月13日には、今度は「DMA」(デジタル市場法)の関係で、EUがブッキング社(Booking.comを運営)を同法上の「ゲートキーパー」と指定する一方、X Ads とTikTok Ads (X/TikTokが提供する広告サービス)は指定しないことを決定したこと、また一方で、XのSNSサービスについては、Xから提出されていた反論書についてその評価のための調査を開始したことが発表されていました。

いやはや、EUの「デジタル」関連法に関連する動きが矢継早です!
追いつきます!

追伸:
…に違いないと考えていらっしゃる方も多いのではないかと思うのですが、そうなのです。EUは、AIにかかわる立法にも積極的に動いています:2021年4月には既に「AI法案」が提案され、2023年12月には、その立法に向けてEU議会とEU理事会が政治合意、今年に入って1月には、AI法の成立に向け、その施行に産業界の自主的な参画を促す「AI Pact」が提案されました。

追いつけるか・・・